国家守は、父親の国家正を暗殺されたにもかかわらず、悲しむ間もなく仕事に熱心に打ち込んでいた。それが、父親の敵討ちなのか、それとも、悲しさを紛らわす術なのか、はたまた、ただの親子揃っての仕事人なのか、橋渡には分別つかなかったが、その熱心さには胸を打たれた。
国家守は、父と約束した著書を書くにあたり、ある大きな疑問にぶち当たる。人口のコントロールである。
この記事は、その人口コントロールをどのようにユナイトワンが対処しようとしていたのか、橋渡が国家守に教えたときのことである。
守「もちろん。私が描く国家強化論は国民の生活水準を著しく向上させるだろう。しかし、そんなことが起こればどうだろう?人口は増えてしまう。それを悲しむのは先進国くらいで、実は減った方がよっぽど、マシなのだ。人口=消費資源の増加なのだから」
橋渡「人口の増加はつまりは既存領土の共有化。そして資源の枯渇だ」
守「人々の生活をよくすればよくするほど人口増加につながり人類を滅亡へと導いてしまうのか」
守「人々の生活をよくすればよくするほど人口増加につながり人類を滅亡へと導いてしまうのか」
橋渡「実はユナイトワンという組織は、かなり前からこの人口増加問題に対して数多くのシナリオを持ちその下準備を進めている。人口削減に取り組む、それは人口の大量殺戮を意味する。しかしね、実は大量殺戮よりもっとひどいことが水面下で行われている」
守「大量殺戮よりもっとひどいこと?」
橋渡「今、ユナイトワンは、環境ホルモンで人口操作している。特にハポネの人々はホルモン操作にひっかかり、女性は男性化、男性は女性化してしまっている。これにより結婚率は低下、出生率も低下している。これに加え、巧みな経済コントロールにより男女ともに働かなくてはならない環境が生み出され、さらに結婚率は下がっている」
守「まさか、そんなことができるわけないじゃないか」
橋渡「これは実際に証拠が挙がっているんだ。だけど誰だって報道しないし、それを検証しようともしない。環境ホルモンは工場から排出されるからね。その規制をしなければいい話なんだから実はものすごく手っ取り早い人口コントロールの手法なんだ」
守「そんなのは倫理に反している。だが、持続可能な国民の生活水準を生み出す為にはただただ生活水準の向上だけを考えていてもいけないみたいだな」
守は、橋渡に礼をいい、銀行の金庫と同じような誰も壊すことのできない分厚い扉の中に守は入っていった。
0 件のコメント:
コメントを投稿