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土曜日, 2月 8

パッカーズの結成秘話⑤ 異次元空間喫茶 銀河

喫茶店。店のドアの上に「銀河」とかかれた看板がかかっている。
CLOSEとドアの窓の向こうは真っ暗闇だ。
鍵でもかかってるのではないか、と恐る恐るマイケルがドアを押すと、すんなりドアは開いた。
中に入る。
するとそこはまるで宇宙空間のような漆黒で煌びやかな世界が広がっていた。
真っ暗な空間にキラキラと光る天井。
満点星の下で回る惑星のように神秘的に光る丸テーブルが丸く8つならべられている。
各テーブルにはぼんやりと神秘的な光がともっている。
心が休まる香りが漂う、それはどこかで嗅いだことがあるのだが、なるほど、宇宙に香りがあるとすれば、こんな香りだろうとマイケルは思った。
銀河には、木琴と、鉄琴がやさしく、ゆっくりと、交互に、メロディーを奏でていた。
その8つのテーブルに1人ぽつんと座る人がいる。
そこには、ジョニーが座ってまっていた。
マイケルは、CLOSEと書かれている店で1人で座っているジョニーを、直感的にトムに呼ばれた人だと確信した。
ジョニーのテーブルには5冊以上のノートが重ねられている。そこには作曲集とかいてある。彼が開けているA4のノートには、みっちりと歌詞、コードが書かれている。1ページ1曲書いてある。それが5冊。一体、どれだけの作品があるのだろう。マイケルは驚くと同時に、自らと同じように音楽を熱意に持つ人が呼ばれていることに安心し、そしてシンに声をかけた。
「どうも」
とマイケルが挨拶をする。
「あ、どうも」
隣のテーブルに座るマイケル。
マイケルはぼんやりと光る月をモチーフにした時計をみた。
約束の時間の20分前であり、時間があることを確認すると、ジョニーに話しかける。
「トムを知ってますか?あの私マイケルといいます」
「あ、僕はジョニーです。僕もトムによばれました」
「あぁ、そういうことですね。はは・・・。でも、実はまだ迷ってます」
マイケルは、テーブルにひじを突きながら指を組み、うつむいた。
「はは、私もです。さっきまで5分くらい喫茶店の前でうろうろ迷ったんですけど、この店の中を少し覗いたら入らずにはいられなくてね」
ジョニーは、マイケルにいう。
「それ、なんですか?」マイケルは聞く。
「あぁ、これは、詩です。ずっと、これ書き続けてるんです」
とそのときだった。
銀河のドアがギィと開く。
そこには、黒いマントを羽織った大柄な男が立っていた。
なんと、それはドンだった。
「やあ、またせたね。トムのかわりに頼まれてね」
ドンは、そういうと2人にニヤリと微笑みかけた。


ーその10分後

銀河のドアを開けるトムがいた。
中をのぞくと幻想的な空間が広がっており、そこには、だれ一人としていなかった。
トムは、月の時計を見て
「まだ、あと10分あるから」
そう言って丸テーブルに腰掛ける。と、丸テーブルには一枚のカードがおいてる。
虹色をしている。
そう、ドンが経営するアルテメッドクラブのメンバーズカードだった。
トムは驚いたようにそれを手に取る。
裏を向けるとそこにはメッセージがかかれていた。
「いつでも、戻ってきたまえ。仲間と一緒に歌おうじゃないか」

「ドン・・・」 そう言って唇をかみ締めると、トムは銀河を飛び出した。