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火曜日, 10月 1

加賀生介のあるものをありのままに表現した自由なアート

情報が拡散することを恐れた政府は、特定ユーザーに対して、徹底的に文字規制をかけるようになる。
当局に睨まれたものは、一日に発信できる文字数をどんどん制限されるようになったのだ。
これにより、当局にのみ望ましい情報が溢れるようになり、望ましくない情報は減少していった。
但し、これを当局は言論統制と民間に思われないよう巧妙にやってのけた。検索システムのアルゴリズムに、言語統制システムを組み込んだのだった。文字制限をかけられているにも関わらず文字制限を守らない民間人の言論は、今や最大の情報源となったWeb上で検索にかからないようになったのだ。そのことを理解している人も少なかったが、理解している人達は、少ない文字でいかに自らの意見を世界に発信するか、の試行錯誤を繰り返していた。
その中でも、文字制限が五文字と至上最短に制限されたユーザーがいた。
彼の名を、加賀生介という。
彼はもともとアーティストであったが、当局の勘違いで文字制限をかけられるようになる。それに気づき憤慨した彼は、当局を痛烈に批判。何を隠そう、彼は、この文字制限に気付いた第一人者であり、その文字制限によって一番酷く罰せられた人間だった。

彼は、その経験から現体制に疑問を感じ、アートにより現体制に抵抗するようになる。彼は、当局の文字制限にも負けない姿勢を表す為に、文字で構成される文字を作品として数多く残した。そのどれもが、彼の文字制限である五文字以内の漢字で構成されており、社会の裏側を映し出す斜に構えた作品となっている。

彼の作品はデジタルアートである為、Web上ですぐき広まった。彼のサイン入りの作品は、特に価値のあるものとされ、オークションでは一枚百万以上で取引された。彼のサイン入りの作品は世に100枚のみ限定で出される為特に価値が高くなるのであった。

彼の作品により人々は、多くの物事を、より冷静に捉えられるようになった。そして、彼の作品は、『自由』のシンボルとなり、彼が演説を行った展示会では、観客から、フリーダム!フリーダム!フリーダム!とフリーダムコールが沸くほどであった。


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